2012年12月8日土曜日

KLX125 リヤサスのロッカーアーム加工

KLX125のリヤサスペンションのロッカーアームですが、以前から何度か書いている通り、樹脂製のカラーと鉄製のスリーブの相性が良くないのか、それはもう頻繁にグリスアップしてやらないと、すぐにスリーブが錆てきます。錆たまま使うので、樹脂製のカラーも傷だらけに。
錆でスリーブが膨らむから固着した状態になって、スリーブが動かなくなり、結局ボルト部分だけが摺動する事になります。こんな状態になるんだったら、最初からロッカーアームにはボルト径+α程度の細い穴だけ開けておいて、真鍮か何かのパイプみたいなスリーブ入れて、ボルトだけで支えればいいじゃないのと思うんですよ。ホントに。
とりあえず、今の状態でそれを言っても仕方がないのですが…

ところで、KLX140Lのリヤサスペンションのロッカーアームは樹脂カラーではなくて、ローラーベアリングを使っています。従って、KLX125も同じようにローラーベアリング仕様にできる筈です。
樹脂製のカラーを抜いて、KLX140Lで使われているモノと同じサイズのローラーベアリングを用意し、バイスで圧入。 って、メチャクチャ固いんですけど?
不安になって、圧入したベアリングのローラーを触ってみたら、ベアリングが変形してしまって、ローラーが回らない。 ベアリングを外してロッカーアームの穴径を測ってみると、23mmしか無い。ベアリングの外形は24mmなので、入る訳がないのでした。
というのが、前回までの経緯

そもそも、このバイクに、そこまでしてリンクのロッカーアームという、大して影響の無さそうな部品をアップグレードする価値があるのかという疑問はさておき、出来ることはやってみたいですし…それに、このスリーブが錆びるという現象を放置したくない。
まずはロッカーアームの穴径を拡張。 初めはボール盤で24mmのドリルを使って…とか思ってたのですが、そんな大径のドリルがあるわけもなく、勤め先の心当たりがありそうな処に聞き廻っていたら、金型修理をやっている部署にフライス盤があるので、そこの24mmのエンドミルで削ればいいんじゃない?という話に。 ロッカーアームの穴は60mm程の深さがあるので、そんなロングサイズのエンドミルがあるのかと聞いてみたら、ありました。
そんな訳で、仕事の合間に加工をお願いして、出来上がったのが、コチラ。
 
見た目はさっぱり分かりませんが、しっかり拡張されています。ただ、24mmのエンドミルで削ったから、少しだけプラス公差がでているのか、ベアリングが手で叩いた程度で入ってしまいます。これは、中強度のネジ止め剤か何かを点付けして止めておいた方が安心かな…
 

次にスリーブですが、樹脂カラー用のスリーブは外形が約20mmで、ベアリング用のスリーブは外形が18mmです。内径と長さはロッカーアームとボルトの径が同じなので変わりません。
ベアリング仕様用のスリーブは1つは買っていたのですが、もともとKLX140Lと同じ仕様にしようと思っていたので、2つは買っていなかったんですよね…
仕方がないので、樹脂カラー用のスリーブを削って使おうかと考えていたのですが、旋盤屋に頼むよりも買ったほうが安いと言われてしまいまして、ミスミで見積もってみると、たしかに買ったほうが安い。

ただミスミって法人しか相手にしてないんで、発注をどうしようかと思っていたら、勤め先の開発技術部門がミスミと取引がありました。 で、そこから発注をお願いしました。錆びた時の事を考えて二個。
下の写真の右が純正で、左が作ってもらったスリーブ。作ってもらったスリーブの内径も、プラス公差がついているので、ボルトは問題なく入ります。
 
ちなみに、このスリーブのパーツナンバーは国内では販売していません。リヤサスの交換ついでに、ロッカーアームのベアリング化を考えている人は、ちゃんとスリーブの発注も忘れずに。輸入なら一つ800円程度で済みますし。

それにしても、世の中には、別段加工しなくてもベアリング化してる人も居る訳で、なんだろ?ロットによってロッカーアームの穴径が違うのかしら?

方法としては、ベアリングの外径が23mmのHK1712を使って、スリーブの外径を17mmにするという手もあります。強度的には純正サイズのHK1816を使うよりも落ちますが、不安ならベアリングの数を増やせば良いと思います。
今回はたまたまロッカーアームを削ってくれる環境があった事と、純正のスリーブが使いたかった事、それからミスミが肉厚3mm未満のカラーを作ってくれない(特注?)事、などの要因が重なって、このような加工方法になりましたが、旋盤加工ができるなら外径17mmのスリーブでも作る事ができますし、軸径12mmのボルトの上に被せるだけなので、スリーブの肉厚が2.5mmになったところで、強度的な問題は無さそうな気がします。

ロッカーアームにベアリングを圧入して、スリーブを挿入したら、
 
こんな感じになります。樹脂カラーとは比較にならないぐらい動きが良いですが、別にゴリゴリ回るような部分では無いので、あまり意味があるとは思えません。
KLX140L用のオイルシールを装着すると、
 
このような感じになるのですが、ちゃんと最後まで収まりません。ベアリングをもう少し深くまで入れたら良いのかもしれませんが、それよりもロッカーアームの形状が問題で、元々のオイルシールの外形が26mmあるんですよね…

KLX140Lのオイルシールの型番は
 
こんな感じでして、裏面を見ると、

という感じになっています。シール部分の外形が24mmしかありませんので、まったくシールできていないことになります。
仕方がないので、monotaro.comでオイルシール探しましたよ。内径18mm、外形26mmの奴を。 1時間ぐらい探した結果、やっとこさ見つけたのが、「LBH 18 26 4.5 6」という品番のゴムパッキン。 ちょっと厚みがありますが、たぶん大丈夫でしょう。

そんな感じで、リフトで上げっぱなしのKLX125を間もなく復活させる事ができそうです。
おそらく苦労した割には、まったく効果を感じる事は無いだろうし、逆に変なトラブルを誘発する可能性もありますが、それは後のお楽しみという事で。

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