2022年3月27日日曜日

中華魚眼レンズ防犯カメラとデワープ

随分前から中華防犯カメラが売られていて、多分に漏れずセキュリティーホールやバックドアなんかの問題も発生しまくっているが、そこはローカル上で動かす分にはネットワークの設定次第である程度許容できる。逆に言えば、ネットワークの設定が分からないなら、カメラで写されている映像が全世界にバラまかれているという認識で使えという事なので、機密情報を扱う場所には使わないほうが良いだろう。ほかにはIoT機器を使ったDDoS攻撃の踏み台にされたりすることもあるので注意が必要だ。
国内ブランドや有名ブランドのカメラは結構な値段で、確かに信頼性や性能は良いのだけれど、クリティカルな用途で使う訳ではないので、そこまでの仕様は求めていない場合、やはり中華防犯カメラのお世話になる事が多い。
ここ数年で随分とセンサーの性能は向上していて画素数も増えたが、安価なSoCの性能や発熱の問題もあって、画素数が増える代わりにフレームレートが落ちる傾向にある。特にアメリカの輸出入規制にHiSiliconが引っかかっている影響が大きくて、発熱や性能的に劣るSoCの採用が増えているのも原因の一つだろう。
色々な安物カメラを買って使ってきた経験上、動きの無い風景を撮影するならフレームレートは然程必要ないけれど、ある程度動きのある物を撮影する場合は、画素数よりもフレームレートの方が重要だと感じる。
センサーの画素数が高くてもSoCの性能が低くて処理が追い付かず、ファームウェア上で少しフレームレートを上げただけでコマ落ちするようなカメラよりも、多少画素数が低くてもSoCの処理速度が十分でコマ落ちせず撮影できるカメラのほうが動いている物体の様子を明瞭に映してくれている。
そんなわけで、3MP以下で25fps出るようなカメラを探して購入しているのだけれど、最近の国内で売られているカメラの主流は5MPとか8MP等の高画素をうたい、実際に購入してみるとフレームレートがまともに出ないといった物ばかりで、目的の物を探すのにも苦労する。
解像度を落としてフレームレートを20fps程度まで上げるような設定ができるカメラがあれば良いのだが、そのようなカメラは殆ど見たことが無い。
AliExpressあたりで購入する際は使用されているセンサーやチップセットが記載されていたり、使用できるアプリや画面のハードコピーが表示されていたりするので、なんとなく性能やファームウェアの仕様がわかったりするのだが、国内大手ECサイトで販売されている物は、大抵の場合買ってみるまで分からないから、有名メーカー以外のカメラを買うのはかなり分の悪い博打になる。
そんな中で、自社で販売している中華カメラを実際に使用し良否を公開しているのが此方のショップで、安価中華カメラの情報源としては国内でも5指に入るのではないかと思っている。

知り合いの店の立ち上げに際して、広範囲を同時に撮影できるカメラが必要になったので、少し広角レンズのカメラ数台と、魚眼レンズのカメラを1台購入した。
広角レンズ程度の映像であれば、普通の閲覧ソフトで映像を確認すれば良いのだが、魚眼の場合、撮影された映像の一部を切り取り歪補正をかける「デワープ」という処理をしないと、非常に見え難い画像となる。
そのデワープ処理はカメラ側で補正チップを搭載している場合もあるが、再生ソフトと対になってソフト側でデワープ処理する事もできる。ただし、この場合カメラの仕様(画素数やレンズ特性等)に合わせなければならないので、カメラの機種はソフト側で対応している機種に限定されてしまう。
安価な中華NVRやIPCamで広く使われているXM社のCMS/VMSにもデワープ機能が備わっているが、使用できる機種は限定されており、上記ショップの方に使用できる機種を教えて頂いたので、そちらを購入してみた。
「K2-VR306-200W」という機種でXM社のCMS/VMSでデワープできる機種の中では比較的安価に購入できる。仕様等は鶴テックさんのBLOGを見て頂くとして、個人的に使ってみた感想は「そこそこ使える」だ。

メリットは
1.XM社のCMS/VMSでデワープできる
2.XM社仕様のNVRが使用できる
3.無線LANなので電源があれば取付できる

デメリットは
1.無線LANしか無いのでPoEで接続出来ず、接続安定性は無線LANの具合に左右される
2.レンズが1.44mmで魚眼というには少し画角が狭い為、天井が低いと映せる範囲が狭くなる
3.昼夜切替がCDSではなく映像検知式なので、環境照度の遷移状況によっては、稀にIRカットフィルタが誤作動する

というわけで、使用する環境にマッチすれば、無料で使えるCMS/VMSでデワープできるのは大きな強みだろう。
ただ、知り合いの店舗の天井高さでは映せる範囲が狭く、照明や無線LANの環境もあまり良くないので、ミスマッチとなってしまった。
これを天井が高く、無線LANの行き届いている工場の天井に取り付けた所、丁度良い具合だったので、結局のところ取り付ける場所次第か。

ちなみにNASメーカーのQNAPの「QVR Pro」やSynologyの「Surveillance Station」にもデワープ機能は備わっていていて、デワープに対応しているカメラを登録すれば普通にデワープできる。
これらのメーカーの一番安いNASでも2デバイス分のライセンスがあるので、興味があるなら試しに使用してみると良いと思う。
安価な組み合わせでお勧めなのは、synology Surveillance StationとTP-Link TL-IPC55AEの組み合わせ。画素数が高い割には15fps出るし、魚眼レンズに1.1mmの物が使用されていて画角が広い為、天井が低くてもそれなりに使える。ただし、日本ではTP-Link謹製のソフトは使えないので、先のNAS以外で使用する場合は、ただの魚眼ONVIFカメラとして使用する事になる為、注意が必要。
カメラの値段はAliExpressで7千円程度だから、ちょっと高いかなぁといった程度だろう。
もう少しお金をかけても良いならHikvision DS-2CD3955FWD-IWS(1.16mm)とかDahua IPC-EW5541-AS(1.4mm)なんかも良さそうだし、もっとお金をかけられるなら、AXISやPanasonicのカメラも良いと思う。
何れにしてもデワープできるかどうかはソフト次第なので、メーカー謹製のソフト以外を使うのであれば、対応機種の確認は必須だろう。

個人的には、そこそこの性能のsynologyのNASとSurveillance Stationの追加ライセンス+大手メーカーのカメラの組み合わせが、安定性とか使い勝手の面で良さそうに思えるのだが、如何せん予算が無いのと10台以上の台数を繋いで試した事が無いので分からない。
実際に大量の台数を接続して使用している人がいたら、使い勝手等を教えて欲しい。

 

 

 

 

 

 

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